関東の東大、中部の愛大

愛媛県出身の私にとって、愛大とはずっと、愛媛大学のことだった。しかし、日本にはもう一つの愛大があったのだ。愛知大学である。「あいだい」という発音からすると、愛知大学のほうが正しい「あいだい」だと思う。愛媛大学は、単に大学名の漢字を省略した形でそう呼ばれているに過ぎないからである。(このページのタイトルは、愛知大学の卒業生の方によるコピーです。)
さて、先日、豊橋を訪れた際、この愛知大学にも足を運んでみた。学食でご飯を食べてみたかったのである。豊橋鉄道を大学前で降りると、すぐ目の前に正門がある。一見すると無人駅のようではあるが、授業のある日はちゃんと駅員さんがいるらしい。それにしてもこれだけ駅から近い大学はうらやましい。何故なら、私の通っていた大学は、最寄駅から20分も山道を歩かなければならないような高台にあったからである。
正門を入ると、すぐに立看が目に入った。なつかしい書体である。私が学生の頃も、こういう書体で書かれた立看が、校内のあちこちに立てかけられていた。ちょうどアメリカで起こった同時多発テロの影響もあって、生徒たちは一層熱くなっているようだった。他に、監視カメラを撤去せよなどという切実な訴えもあった。それから、フォークソング同好会の公演のお知らせ看板などもあった。
おなかが空いていたので、私はまっすぐに学生食堂に向かった。大学の構内はかなり広く、木々に囲まれていて、大変リラックスできる雰囲気である。まるで公園の中に造られた大学みたいだ。開放的な雰囲気の中で、自由な発想を持った学生達が巣立って行けるような環境である。しかし、休日のためか、学生の数は極端に少ない。
学食に向かう途中で、学生掲示板の前を通った。今や掲示板と言うと電子掲示板を思い浮かべがちだが、こうしたアナログの掲示板もまだしっかり残っているようである。学生に対する呼びかけや、催し物の案内など、見ていると自分の学生時代とだぶって、非常に懐かしい思いがこみ上げて来た。
学生食堂梢風館は、建て替えられたばかりと思われるような、美しい建物だった。やはり、休日は営業していなかった。「男子学生大歓迎」などという張り紙が目に付いた。もしかすると、ここは男子学生が気後れして入れないようなおしゃれな食堂なのだろうか? それとも、もともと女子学生の数が圧倒的に多い大学なのだろうか?(卒業生の方の話によれば、梢風館のあるあたりは、短期大学部のエリアなんだそうだ。この張り紙は、女子学生が多くて気後れしている男子学生を歓迎するという意味で書かれたものらしい。)
私は再び正門のほうに歩いて行き、正門を背にしてグランドの左手にあるサークル棟に目をやった。サークル棟というと、音楽サークルに参加している連中が、演奏の練習のために楽器を鳴らしていたりして騒がしいイメージがあるのだが、おそらく休日だったからだろう。サークル棟はひっそりと静まり返っていた。外から見てもどのサークルボックスかわかるように、ビニールテープなどで窓にサークルの名前が貼り付けられていた。
それが思い出したくないような内容でなければ、ある程度年を取ってから、青春時代を過ごした場所を再び訪れてみるのもいいかもしれないと思った。そこには、希望に満ちた次なる自分の分身が一生懸命頑張っているかもしれない。そして、その頑張っている次なる分身の肩を叩いて励ますこともできるだろう。彼らには、それがタイムマシンに乗って未来からやって来た人に写ってしまうかもしれないが・・・。
例えそれがどんな形であれ、自分の青春時代を過ごした何かと、今でも密接に繋がっていられることは、それだけで十分幸せなことなのだろうと思う。社会人としてのしがらみのなかった時代を、共に過ごした仲間が身近にいることは、きっとそれだけで大切な宝物なのだろう。
その他の風景:愛知大学構内案内図 校舎 図書館 鐘
愛大生が通ったであろう、豊橋駅前の飲み屋さん:ろばた焼きはっちゃん 居酒屋百万石